刻を越えて叶える恋夢
両親の事故処理や葬儀など、しばらくは葵の家に守おじさんは滞在してくれて何から何までこなしてくれた。

四十九日を来週に控えたある日、

「葵ちゃん、うちで暮らすのはイヤかな?」
と言われた。

守おじさんの家は隣町にある老舗の温泉旅館で、年の近い息子さんが確か2人。

若旦那の仕事はあまり多くないが、このひと月近く奥さんに任せっぱなしなので、相談したとのこと。

もともと娘が欲しくて女の子グッズ等も好きな奥様が是非と言ってくれたからという事らしいが、

「美貴も女の子がいれば、ガールズトークができるかしらとか言って乗り気なんだよなぁ」
には少しビックリした。

そういえば、昔叔母さんと呼んだらすっごい鬼の形相で怒られた記憶があるかも。

"ぞくっ"

思い出したら少し寒気がした。

確か、若い頃ミス何某にも選ばれたくらい美人で、名物美人女将とも。

学校が変わることを除けばとてもいい話だと思う。これを断れば私は施設に入ることになり、結局学校が変わり、友達とは別れることになるだろう。

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