後味も甘く彩る
けれど安心したのも束の間、今度はひんやりと冷たい温度が頬を襲って、「ぎゃっ」と変な声を出してしまった。


「ちょっと今度はなに!?びっくりした!」

「なにって差し入れですよ」

「えっ、ありがとう……って違う。いや、ありがとうなんだけど、普通に渡して?」



頬に押し付けられたものを手で受け取ってみれば、紙パックのミルクティーだった。それに続き、「疲れたときは糖分です」とチョコレートも差し出されて、一瞬躊躇ってはみたものの、せっかくの気持ちを無駄にできるはずもなく素直に受け取った。


才原くんがこうして差し入れをくれるのは、何もはじめてではない。


私は今年から生徒会長を務めていて、毎週水曜日は生徒会会議があるから、そのための資料まとめを前日の火曜日にひそかにひとりでやっていた。

私が勝手にやっていることだから、と他の人には知らせていなかったけれど、なぜか副会長である才原くんにはいつの間にか知られていて、今ではこうして差し入れをもらったり、資料をまとめるのを手伝ってもらったりしている。

正直、かなり助かってるというのは本音で。最初は才原くんって何考えてるのかわかんなくてすこし怖かったけど、今では頼れる後輩だ。
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