愛しの君がもうすぐここにやってくる。

ここは?
え?夜?
でもさっき外を見ていたときはまだ明るかったけど。
周りを見ても見覚えのない、違う、正確にはどこかで見たことのある景色。

ぼんやりと立ち尽くしていると時親様がぽつりと言った。
「申し訳ありません。
きっと私がこの時代にないものに触れてしまったから、時空の誤作動が起こってしまって、本の中に入り込んでしまったのかもしれません・・・」
時親様が右手で直衣についた砂を払った。

なにそれ?
ということは今いるのはあの英語教材の本の中?

周りを見渡すとこれって教材の挿絵と同じ見覚えのある景色。
そう、だから見たことのある景色。
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