愛しの君がもうすぐここにやってくる。

「こんなことって・・・あるの・・・?」

「一瞬の気の緩みでした。
私自身でも正直自分の力についてすべて把握しているとは・・・。
また紫乃を嫌なことに巻き込んでしまいました」

いや、それよりも私の手に伝わるやさしい温かさ、それが時親様の左手だと理解すると今度は緊張に変わる。
そっちのほうが私は気になって仕方ないんだけど。

私がじっと繋がれている手を見つめていると時親様は
「ああ、そうですね、もうはぐれることはないかと・・・」そう言ってそっと手を離した。

ほっとしたような、寂しいような変な感じ。








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