愛しの君がもうすぐここにやってくる。
私は思わず木の陰から身を乗り出し、大きな声でシンデレラに言った。
「なに言ってんですか!
一応、物語上では舞踏会に出かけて王子様と出会って・・・って話になっているんですから。
とにかく行ってくれないと話がおかしくなってしまう!」
いきなりの私の登場に驚く2人。
正確には私の横にいた時親様も驚いていただろう。
「・・・誰・・・?」
あっけに取られたように魔法使いのおばあさんが言った。
「あ・・・すみません、えっと、とにかく誰でもいいですから、とにかく舞踏会に行かないと話がおかしくなるから」
「さっきから話、話って。
そんなの知らないです、私はとにかくふさわしくないから行きたくない・・・」
シンデレラは拒否し続ける。
なに、シンデレラってそんなにネガティブな人だったの?
どうしよう。
「おばあさん、今何時?」
私は急ぎ気味に魔法使いのおばあさんに尋ねる。
「さあ、わからないけれど、0時にはまだなってないかと・・・」
当たり前でしょ、0時になって今のぐだぐだの状況だと話は終わってしまっているし。
とにかく0時までにはガラスの靴を置いて帰るってところまで話をすすめないと。