愛しの君がもうすぐここにやってくる。
それからはもう、早く到着しないだろうか、とそればかり。
なんとなく時親様の顔を見ることもできず、窓の外から見える月を見る。
ああ、きれいだな・・・。
月はやさしい光を放ち、なんだか時親様と一緒ならこのままでもいいって。
帰れなくても怖くない、そんなことを思っていた。
ほどなくして城が近くなってきたのか、馬車がスピードを落とし始める。
そして窓から外を見ると大きな城が見えてきた。
「着いたみたいですね。
急ぎましょう、早く靴を置いて帰らなければならいのでしょう」
「あっ、はい、そうです」
と同時に馬車が止まり、私たちは舞踏会場へと急ぐ。