愛しの君がもうすぐここにやってくる。

それからはもう、早く到着しないだろうか、とそればかり。
なんとなく時親様の顔を見ることもできず、窓の外から見える月を見る。

ああ、きれいだな・・・。

月はやさしい光を放ち、なんだか時親様と一緒ならこのままでもいいって。
帰れなくても怖くない、そんなことを思っていた。



ほどなくして城が近くなってきたのか、馬車がスピードを落とし始める。
そして窓から外を見ると大きな城が見えてきた。

「着いたみたいですね。
急ぎましょう、早く靴を置いて帰らなければならいのでしょう」

「あっ、はい、そうです」
と同時に馬車が止まり、私たちは舞踏会場へと急ぐ。






< 116 / 212 >

この作品をシェア

pagetop