愛しの君がもうすぐここにやってくる。
「あー、もう、代金はかまへんって。最後のひとつやし」
おじさんは両手を振って苦笑する。
「いいんですか?」
「…髪に桜の花びらつけてきたお嬢ちゃんは桜の姫様か。
だからそんな人からお代なんてもらわれへんやろ?」
「…え?」
私がそっと髪に触れると桜の花びらが手のひらにあった。
あれ、これってさっきの?
花びらが散って何枚か、私の方に舞ってきたけれど。
でもおかしいな、
さっきの桜の木のところから走ってきたのに。
もし頭に乗っていたのなら落ちていてもおかしくないのに。
私はその手のひらの中にある花びらをじっと見つめる。
おじさんはガシャン、と最後の台のふたをして、
片付けの終わったおじさんが不思議そうな顔をして私を見る。
「どうしたん?」
「あ…なんでもないです、これ、ありがとう!」
手の中にある温かいぬくもりが私を自然と笑顔にさせる。
そして花びらをそのまま落としてしまうのもなんとなくもったいなくてまた髪に戻す。
「ホンマ、雷が来そうやら早く帰るんやで!」
おじさんは車に乗り込んで運転席の窓から顔を出して手を振った。
車が見えなくなって私は手元にある紙袋の中にあるたい焼きの匂いを満喫する。
こんな甘い誘惑。
このまま家まで持って帰るなんて無理、食べて帰ろう。
おじさんは両手を振って苦笑する。
「いいんですか?」
「…髪に桜の花びらつけてきたお嬢ちゃんは桜の姫様か。
だからそんな人からお代なんてもらわれへんやろ?」
「…え?」
私がそっと髪に触れると桜の花びらが手のひらにあった。
あれ、これってさっきの?
花びらが散って何枚か、私の方に舞ってきたけれど。
でもおかしいな、
さっきの桜の木のところから走ってきたのに。
もし頭に乗っていたのなら落ちていてもおかしくないのに。
私はその手のひらの中にある花びらをじっと見つめる。
おじさんはガシャン、と最後の台のふたをして、
片付けの終わったおじさんが不思議そうな顔をして私を見る。
「どうしたん?」
「あ…なんでもないです、これ、ありがとう!」
手の中にある温かいぬくもりが私を自然と笑顔にさせる。
そして花びらをそのまま落としてしまうのもなんとなくもったいなくてまた髪に戻す。
「ホンマ、雷が来そうやら早く帰るんやで!」
おじさんは車に乗り込んで運転席の窓から顔を出して手を振った。
車が見えなくなって私は手元にある紙袋の中にあるたい焼きの匂いを満喫する。
こんな甘い誘惑。
このまま家まで持って帰るなんて無理、食べて帰ろう。