愛しの君がもうすぐここにやってくる。
この場所が私にとって心地いい場所になってきているからなのだろうか。
それでも私がいるべき場所がここではないことは頭の隅で理解している。
帰らなければならないことも理解している。
そして。
そのときがはっきりと明確になったとき、私の感情はどう動くのだろう。
そのときがはっきりと明確になったとき、私は時親様に対してなにを思うのだろう。
時親様はなにか思うことがあるのだろうか。
・・・ってまあ、そんなことを考えたって。
以前、時親様が私に帰るための手段がわかってきたようなことを言っていたけれど、あのときの彼はいつもと同じ静かに淡々と話をしていた。
表情をかえることもなく。
だからなにか思うことなんてきっとない。
感情が動くのも思うことがあるのも私だけだ。
私はためいきついて暗い空を見上げる。
月はここで見る月も私がいた時代の月も同じに見える。
当たり前か。