愛しの君がもうすぐここにやってくる。
「なんだかそれは今まで思い悩むこともなく過ごせてこれたような、そんな感じですね」
少しあきれたように時親様が言う。
「そんな意味じゃないですよ」
私はあわてて両手を振って否定する。
静かな時間が私たちの間にながれていく。
ここに来たときは私が気がつかなかっただけなのかもしれないけれど、表情がなくて冷たいひとだなと思っていた。
でもこうして一緒に過ごす時間が少しずつ増えてくるにしたがって、冷たいって思いながらもなぜか不思議に感じていた温かい感じが、だんだんとリアルになってきているように思う。
それはあのアメジストが何だったのか理解したから、余計にそう感じるのかもしれない。