愛しの君がもうすぐここにやってくる。
「・・・紫乃!」
「おい、紫乃ったら!」
え・・・?雀躍?
「さっきから何回も呼んでるのに・・・」
「あ、ごめん、ぼんやりしてた」
「最近、元気ないんじゃないか?」
雀躍は腕を組んで私を見た。
「そんなことないって、元気やから!」
考え事をしていることに気付かれないようにわざと大きく手を振って笑顔で答える。
「ほんとか?
ま、いいや。
元気なくても元気になる知らせを持ってきた!」
そう言って雀躍はふふんと鼻で笑う。
「元気になる知らせ?」
「紫乃が元の場所に戻れる方法のこと、主様が話してた」
「時親様が・・・?」
私が元の場所に戻れる方法?
そういえば前に近いうちに具体的に話せるって言ってたっけ。
もう帰る時期がはっきりしたってこと?
・・・どうしたらいいの。
私は胸に手を当てて考える。
考えるなんて言ったって、答えは「帰る」の一択しかないのに、どうしたらいいとか、おかしい。
「でもさ、紫乃って本当に帰るのか?」
「うん・・・、帰るんかな・・・」
「帰る」なんてはっきり言いたくなくて、ごまかしたように答える。