愛しの君がもうすぐここにやってくる。
「なんだ、それ。
まあ、さ・・・」
そこまで言って言葉を止めて雀躍は小さなため息をついて続けた。
「紫乃が来てからこの屋敷もにぎやかになったように思うし。
紫乃さえよかったらここにいてもいいと思うんだけどな」
そう言って照れくさそうにする雀躍。
そんなふうに思ってくれてたなんてちょっと嬉しい。
「うん、ありがとう」
「紫乃ってさ・・・」
「なに?」
「・・・いや、なんでもないや」
雀躍は視線をそらす。
「なんやの、途中で止めるとか気持ち悪いし!」
「あー、その言い方、でもやっぱり紫乃がここにいると退屈しないや」
両手を頭の後ろで組んで雀躍は笑う。
「もう!それってどういう意味やさ?」
そう言ったものの、どうしてかわからないけれど私もおかしくなって、ふたり一緒に笑う。