愛しの君がもうすぐここにやってくる。

「わかりました、
ではこちらに来ていただくようにお伝えしておきますね」

「ありがとうございます」
桔梗さんはくるりと背を向けてゆっくりと部屋の向こうへ消えていった。

そう言ったものの、話したいこと?
私の話したいことってなに?

やめた方がよかったかもしれない。
だって私の帰る方法を・・・って雀躍が言ってたし、その話をされてしまったら、私はどうしたらいいのかわからない。

結局、帰ることはわかってる。

でも・・・。

往生際が悪いな。
そう思いながら私は再び几帳の向こう側へと移動する。





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