愛しの君がもうすぐここにやってくる。
いつからこんなに弱い人間になってしまったのだろう。
私は時親様のことが。
どんなに気持ちを伝えたいと思ったか。
ふたりのお姫様とのこと、それで気持ちを伝えよう、そう思うようになった。
それでいても「でも」と否定する私もまだ私の中に存在する。
そんな否定する私がいたとしても、もし時親様が私のこと、少しでも、ひとことでも言ってくれたなら。
そうしたら私・・・。
そっと顔を上げて時親様を見る。
静かに、凜とした彼の姿。
「私も紫乃を見習わなくてはならないですね。
ああ、そういえば・・・、桔梗から話したいことがあると聞いたのですが」
あ、それは本当に話したいことがあるっていうことじゃないんだけど。
私より時親様の方が私に話したいことがあるんじゃないだろうか。
そう、雀躍の言っていた私が帰る話。
けれど時親様はその話をしようとしない。
どうしてだろう。
私から言ってみようか。
でも辛いことはできるだけ遠いところにある方がいい。
言葉を飲み込んだものの、いずれこの話は時親様としなければならない。
だったら。