愛しの君がもうすぐここにやってくる。
「紫乃ってさ・・・、主様のこと好きなのか?」
「えっ!急になんやさ!雀躍ってば何言ってんの?」
そう言いながらも顔が赤くなっていっているのが自分でもわかる。
「俺だって、大好きだもん。
あんなにいい人はいないと思う。
でも・・・、それでも紫乃は帰るのか?」
「・・・うん・・・」
「そっか。
あのさ、前に言いかけたやめたんだけど」
「なに?」
雀躍は私の返事を確かめるようにして頷いてそれからゆっくりと続けた。
「時親様は紫乃が好きなんだろうなって思ってた。
それで紫乃も主様のことが好きなんだったら一緒にここで暮らすんだって思ってたのに」
雀躍の言葉に心臓が急に騒ぎだす。
「時親様が私のことを・・・?」
まさか、そんなの・・・。
「ずっと前、紅枝垂れ桜の木に紫乃が木に引き寄せられたとき、血相変えて大事な仕事を投げ出して飛び出して行ったし。
今回、紫乃の帰る方法がわかったときも嬉しいことのはずなのにしばらく物思いに沈んで元気なかったし。
それって今から考えたら紫乃と別れてしまうことを思っていたのかなって」
もしそれが本当だったとしたら・・・。
どうしよう、私、大嫌いって言ってしまった。