愛しの君がもうすぐここにやってくる。
雀躍と私の間に沈黙が続く。
何をどう答えたらいいのか。
そんなことを考えていると雨が降り始めてきた。
サーサーと静かな雨音が聞こえる。
土の匂いがする。
「とにかく主様とケンカしてるのなら早く仲直りしなよ」
静かな雨の音の中、雀躍の声が響く。
そんなこと言ったって、いまさら。
どうしたらいいのかわからない。
いつもなら雀躍とにぎやかに話して過ごすことが多いのに、今日はなんとなくいつもと違う。
あれ以来、気分が沈んでいるからなのだろう。
それに好きかもしれないとか、そんなこと言われたら。
つまらなさそうに勾欄に雀躍がもたれかかると同時に桔梗さんの声が聞こえた。
「雀躍、来ていたのですね。
あれほど時親様から来ないようにと言われているのに・・・」
窘めるように言った。
「紫乃に会いに来ただけだから!」
そう言って雀躍は身を翻し続けた。
「とにかくケンカしてるなら早く仲直りしなよ、時親様だってきっと」
「あ、雀躍!」
もう、言いたいこと言ったらまた勝手に消えて・・・。