愛しの君がもうすぐここにやってくる。
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「…気がつかれましたか?」

聞こえた女の人のやさしい声。

ここはどこ…?
自分の家…じゃない…?
私は横になったまま、あたりを見渡す。

あたりは真っ暗だけどさっきの雨雲のせいじゃなくて夜。
雨は降っていない。
今は何時なんだろうか。
あれからどれくらい時間が経ったのか。

雷雨はもうなくあたりは静まりかえる。
その静まり方は本当に何も聞えなくて、なんて表現したらいいんだろう。
静かすぎて耳鳴りがしそう。

だいたい見覚えの全くないこの場所。
わかんない、どこ?っていうか、ここって家…?
違う、家っていうよりも。
そう、私のいるこの場所は明らかに変だ。
どこかの家なんだけど変。

そして身体を起き上がらせようとした時、
ぐ…。
頭が急にぐらっとして一瞬、目の前が見えなくなった。
気持ち悪い、吐きそう。
車酔いみたいにクラクラして気持ち悪い。
私は慌てて両手を口に当てる。


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