愛しの君がもうすぐここにやってくる。
「どこ行くん?」
「あいつ探してやっつけってやる」
「え?」
ちょっとそれは雀躍ひとりじゃ無理なんじゃ・・・。
私が見ていてもわかる。
せめて時親様が来るまで待ってからのほうがいい。
「ちょっと待っ・・・」
でも私の声かけに雀躍は振り向くことなく雨の中を出て行った。
雀躍を追いかけようと私も出て行こうとしたとき背後から声が聞こえた。
「おやおや、縄はどうされました?」
知徳法師・・・。
腕を組んでえらそうに嫌な奴。
「そろそろ時親様も来られるというのに、困ったお姫様ですね。
おとなしくなさっててください」
「時親様が・・・?」
「ええ、思惑通りこちらにやってきている様子・・・」
そう言ってにやりと笑うと、近づいてきて私の腕を掴む。
「痛っ!」