愛しの君がもうすぐここにやってくる。
雀躍はよろよろしながらも立ち上がり、再び智徳法師を睨みつけると飛びかかる態勢をとる。
「そんなんじゃ無理、待って!」
でも私の声は雀躍には届かない。
私は雀躍の腕をつかんで止めようとするけれど、大きな力で振りほどき、雀躍は私を突き飛ばす。
「痛っ・・・」
私はなんとか起き上がる。
「雀躍・・・あかんて・・・」
私は諦めずに雀躍のそばに行こうとしたけれど、時親様が左右に首を振りながら私を制し、今度は雀躍の周りに結界を張る。
雀躍の動きは結界の外に出ることはなくなったが中でなにか叫び続けている。
「雀躍はまだ小さい故に自分の感情を止めることができなくなることがあります。
それは特に憎しみを感じたときに大きく出てしまいます。
自分の限界以上の妖力を使ってしまうことも・・・。
もしそうなってしまうと雀躍自身もその妖力に潰され危険な状況に陥るおそれもあります」
「それなら絶対に止めないと・・・!」
焦って言う私にあくまでも時親様は冷静に続けた。
「この結界もいつ破られるかわかりません。
そうなると止めることは私にもできません」