愛しの君がもうすぐここにやってくる。
「そんな・・・」
私はやっとの思いで答える。
「過去に雀躍は智徳法師に母親が襲われたことが原因でこのようなことに。
そして私が今でも智徳法師と関わっていることもあり、だから私の近くにあまり雀躍には来て欲しくなかったのです。
智徳法師の存在を認識したとき、彼の感情が暴走してしまわないように・・・」
静かに、そして伏し目がちに彼は言った。
そういえばお母さんの話を雀躍が話してくれたとき、許さないって言っていたっけ。
雀躍の中でずっと静かにくすぶり続けているんだ・・・。
何もないから大丈夫だったんじゃなくて、何もないときも常にずっと思いは残っていて・・・。
「このままだと雀躍は・・・?」
「・・・雀躍は命を落とすしか・・・」
命を落とすって?
どういうこと?
感情を止められないからって、だからって暴走して苦しい状態のまま見てるだけって、それじゃあまりにも・・・。
私の中で何度も「命を落とす」というワードが繰り返され、雀躍の無邪気な笑顔が浮ぶと同時に心臓がバクバクと音を立てる。
その時。
バリバリ・・・!と鈍い音がした。
振り向くと雀躍が結界を破り出てきたところだった。