愛しの君がもうすぐここにやってくる。
しかし彼女をこの腕の中に抱いたとき、時空の歪みの中に引きずり込まれてやってきたとはいえ、本当に今まで心細い思いをして過ごしてきたのだろうと、やっと理解した。
どうしようもない感情を差し置いたとしてもどうして避けるようなことをしてしまったのか。
もうどうすることがいちばんよいことなのか。
・・・わからない。
今までなにがあっても迷うことなく決断し、生きてきた私だったのに、わからなくなってしまった。
人間の感情はやっかいなことと自分がいちばんよくわかっていたはずなのに。
だからもう関わりたくないと、そういうことから離れているつもりだったのに。
「いろんな感情に襲われてもそこから逃げないで」
そう言っていた彼女。
面倒ごとに巻き込まれたくないから、ではなく、これからの彼女のためにそう思うようになっていた。