愛しの君がもうすぐここにやってくる。
帰る方法がわかったこと、彼女が帰れることを彼女には伝えなければと思った。
しかしとうに帰れる方法がわかっていたのに、どうしても言うことを躊躇してしまった。
このまま彼女と一緒に、そんな想いがいつの間にか・・・。
言うか言うまいか、そうしたら彼女から帰ることを話し始めた。
そうだ、自分の邪推な考えで彼女を縛り付けることはできない。
彼女に帰る話をしているとき、
そのときの彼女の表情、大きな瞳に涙があっという間にたまり、少し驚いた表情になった彼女を忘れることができない。
それは帰れることの喜びか、それともここを離れるという寂しさからくるものか。
そのとき自分自身が彼女に惹かれていることを確信してしまった。
たぶん、会うたびに惹かれていくのだと。
そして彼女にどうして言えなかったこと、もとの場所に帰るとき、ここで過ごした記憶はすべて消えてしまうということ。
それを伝えたら彼女はどう思っただろうか。
あのときそれを一緒に伝えたらあの涙の理由がわかる、そう思ったからなんとなく言えなかった。
それほどに彼女に惹かれている自分がいた。