愛しの君がもうすぐここにやってくる。
「おい、紫乃」
その声は雀躍?
そう思うと同時にひょこっと簀子の下から顔を出す。
すっかり元気を取り戻しいつもの雀躍に戻ったようだ。
「もう大丈夫なん?」
「おう、そう簡単にやられるような雀躍様じゃないからね。
それより紫乃、帰るって・・・、ここの人間じゃないって聞いたけど本当なのか?」
そう言いながら雀躍は四つん這いになりながら御簾の近くまでやってきた。
「うん・・・、仕方ないんやろね。
雀躍の言うとおり元々、私はこの世界の人間とちゃうしね。
帰らないといけない・・・のかな」
そう答えながらぼんやりと学校のことと、家族のこと友人のカオリを思い出す。
胸がきゅっとなって思わず手を当てる。
「・・・難しいことはよくわかんないけど。
そっか。
でも紫乃も主様のことが好きで、主様も紫乃のことが好きで・・・、
だからなんだかんだ言っても一緒に暮らすのかなって思ってたんだけどさ」
頭の後ろに腕を組んで言う雀躍に顔がかあっと赤くなる。
「な、なに言ってんの、子どものくせに!」
「はあ?
紫乃だってまだ子どもみたいなもんだろう!」
「なに、生意気言ってんのっ!」
私は手を伸ばして雀躍の首根っこを捕まえる。
「離せよ!」
手足をばたつかせて雀躍は抵抗する。
「ほんま、その生意気な態度、説教せんとあかんね」