愛しの君がもうすぐここにやってくる。
晴明様は空を見つめ少し考えるような仕草を見せて、
「少しその石を貸していただけませんか?」
そう言った。
「?」
どうするのだろう、不思議に思いながらも私は御簾の下からアメジストを彼に渡す。
御簾の向こうでアメジストを受け取った清明様はやさしく両手て包むようにして手に取る。
そして大きく息を吸って呪文を唱えると包み込んでいる指の隙間からアメジストが光る。
「・・・この石を貴女がここに来る前から持っていたように、時の流れを少し細工いたしました。
これで紫乃様のいる世界から持ってきたということになりました。
大丈夫です、貴女の世界に持ち帰ることができるでしょう」
そう言ってにっこり笑い、アメジストを私に返した。