愛しの君がもうすぐここにやってくる。

その子どもは一瞬、おびえた表情を見せ、確かめるように私に言った。

「…おまえ、私が見えるのか?」

そう言って天井から離れ、くるりと回ったかと思うと私の頭で一度バウンド。

「痛っ!」

そして私の枕元に立つ。

よく見るとまだ幼稚園児くらいで中性的。

外見上は確かに可愛らしいけどなんかひっかかる。

人間…?…じゃない…?
人間の子どもにしてはなんだか違和感。
まあ、いいや、夢の中ならなんでもありってところか。

「なぜおまえは私が見える?」

は?
それにしてもなんて生意気な口のききかたするんだろう。
「私が見える人間は主様だけで、それ以外なら桔梗様だけ。
だいたい人間で私の事が見えるのって…」

…主様?
さっきの女のひとが言っていた主人ってひとと同じ人のことなんだろうか。

「あ…、
おまえからなんかいい匂いする…」

その子は鼻をくんくんとさせて私に近づいてきた。

いい匂い?
ああ、もしかしてたい焼きのこと?

「これ?」

私は手に持っていた白い袋からたい焼きを取りだした。
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