愛しの君がもうすぐここにやってくる。
勢い良く答える私に彼女は目を丸くし少し驚いた顔をして、それからくすり、と笑った。

「紫乃様は楽しい方ですね・・・。
連れて帰ってきた主人も紫乃様がこんなに楽しい方だってご存じだったのでしょうか・・・」

「主人が連れて・・・?
え、えーっと意味がよくわかんな・・・」

そこまで言って止まる。
私・・・、どうやって桔梗さんのご主人に連れて帰られたんだろう。
その辺の記憶が全くない。
どこかで拾われたってこと?

そのへん夢だから適当ってことか。

………。

・・・やっぱりなにをどう考えても

わからない。

「紫乃様、空腹ではありませんか?
お食事の用意をいたしましょう」
そう言って桔梗さんは部屋を出て行った。
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