愛しの君がもうすぐここにやってくる。

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日が暮れてしまうと電気がないから真っ暗。

そういえばここに来たら雨は降ってなくて、雷も鳴ってなかった。
あれからどれだけ時間が過ぎたのか、時計もないから全然わからない。
灯りはあるけれど、
軒先の燈籠と部屋にある燈台の小さな炎ではなんだか頼りない。

部屋が暗くても何か音が聞えたなら、まだ気も紛れるけれどテレビもラジオもない。
さっきスマホをリュックのポケットから出して電源を入れてみたけれど、ネットも繋がらない。
これじゃ動画を楽しむこともできない。

桔梗さんが用意してくれたやたら健康的な食事もとったし。
「なんかもうやることない・・・」
聞えるのは外からのかすかな風で揺れる草木の音。

耳鳴りがしそうなくらいに静まり返りすぎている、こんなところにひとりでいたんじゃ寂しくてたまらない。

それにしても長い夢だ。
夢の中で眠ったら、次に目覚めたときいつもの私に戻っているのだろう。
あんまり眠たくないけれど、疲れたし今もう寝ようかな。

あ。そうか眠ったら次に目が覚めたらいつもの日常に戻ってるってことも。
あまり眠たくはないけれど、あくびをひとつ。

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