愛しの君がもうすぐここにやってくる。
「へー、そうなんだ。
で、おまえどこのお姫様なんだよ?」

雀躍は残念そうな表情から意外だ、というような少し驚いたように身体を乗り出して聞いてきた。

「う、どこが・・・って聞かれても。
それより私のこと、さっきからお前呼ばわりなんてどういうこと?」

自分でもよくわからないことを聞かれても答えられない私は思わず話を逸らす。

「だってお前の名前知らないもん」

「あれ、そうだっけ。
ごめん、私は藤原 紫乃」
その私の名前を聞いた雀躍も最初の桔梗さん同様に驚いた顔をした。

「ホ・・・ホントか?
お姫様って本当…」
声はさっきより小さくなる。
そしてさっきまでの乗り出していた身体を少しずつ後ずさりするようにする。

「なんか私も自分でよくわかってへんのやけど、
あのふたりがそう言ってたもん。
それにこんなところで嘘ついたってしゃあないやん?」
そう言いながらもあのふたりは私のこと、何を勘違いしているんだろうかと思った。

「へえ、じゃ、やっぱり紫乃はお姫様なんだ。
でもそしたらなんでお姫様がこんなところにいるんだ?」

そんなこと、聞かれたって私が知りたい。

「それよりさ、その主様って・・・」
私が昨日から気になっていたことを話しかけると、雀躍は主様のことを知らないのか、
と言いながら、いろんな事を教えてくれた。
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