愛しの君がもうすぐここにやってくる。
またひとりになってしまった。
ひとりだと余計なことを考えてしまうから･･･。

そうだ、あのアメジスト。
私は桔梗さんが置いてくれた学校の制服を引っ張りだし、スカートのポケットの中を探る。

･･･あれ？ない。
慌てて今度はリュックの中に手を突っ込んで探す。
･･･やっぱりない。
どこかで落としたのだろうか。

今までずっと不安な時はアメジストに頼ってきたのにその石がない。
必死になって探すけれど、全く手に触る感触がない。

ない、そう思ったらまた帰れないという思いが私の不安を大きくさせて、心の中に大きく影を落とし、心細くなる。

今はただよくわからないひとだけど、安倍時親様が私を帰すって言ったこと。
それだけが。
それだけしかない。

何度も何度も自分に言い聞かせる。
そしてまた涙がこぼれた。


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