愛しの君がもうすぐここにやってくる。

「外に出たいです。
私がいたところではみんな外に出るなんてことが当たり前だったんですよ?
学校行ったりいろんなお店に行ったり・・・。
家でじっとしているより外で過ごすほうがぜったいに楽しいって」

私は身を乗り出して桔梗さんに大きく身振りをしながら今まで私が過ごしてきたことを早口で話す。

「そ、そうなんですか・・・。
でもここでは女性はほとんど外に出ることは・・・」

少し後ずさりながら困ったように笑い、着物のすそを桔梗さんは触る。
ですよね、やっぱりだめか。
ため息をついてうつむく。

そのまま黙り込んでしまった私を哀れに思ったのか、
桔梗さんはあたりを見渡しながらそっと私に囁くように耳元で言った。


「・・・時親様には内緒ですよ・・・?」



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