愛しの君がもうすぐここにやってくる。

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昼間は周りが明るいせいかあまり気にならないけれど、あたりが暗くなると日が暮れてから、どれくらい経ったのか。
どれくらいの時間の経過があったのか。
特に夜、今のような夜中の時間になると周りが静か過ぎるように思えて、少しの時間の流れでも気になってしまう。

以前なら少しの時間の流れで、
何時の電車に乗らなきゃとか、
何時までに行かなきゃけいけないとか、
時間に追われるような感覚の時間が気になるだったけど。
今感じるのはまた少し違うような感覚。

闇の静寂があたりを包み込み、
怖いっていうのでもないけれど、私自身も暗闇に締め付けられそうな感覚になってしまう。

それにしても桔梗さんに琵琶を教えてもらうよう時親様に頼もうと、
こうして彼を待つこと何日になるのか。

彼はずっと忙しいのか朝早く出て行って夜中に帰っているようでやっぱりあの日以来、彼を見てない。
なんだかわざと?とか思ってしまう。

桜ももうすぐ散ってしまうのかな。
ここに来たときは満開になる頃だったから。
それにこないだ桔梗さんと一緒に庭に出て桜を見たのは何日前になるんだろう。

でも今日こそは、と眠たい目をこすり、彼の帰りを待つ。


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