愛しの君がもうすぐここにやってくる。
どう表現していいかわからないけれど、この人は私を惹きつけるなにかを持っている。
いやいや、だいたい本来なら私が存在しないはずの時代で時親様に惹かれたとして、なにがどう転んでもハッピーエンドにはなるわけがない。
死亡フラグならぬ失恋フラグが立ちまくりで絶対に覆ることなんてない。
絶対に惹かれてはいけない。
だから余計なことは考えないように。
「不安ですか?」
黙り込んでいる私に彼は声をかける。
惹かれないようになんて思いながらもこういうのってマズいな…。
「…あ…、いえ、」
今考えていることを正直に言えるわけもなく、あいまいな答え方をする。
それに今、不安か、否かとどちらなのかと聞かれたらそれはそれで不安はある。
でも不安って一言で片付けるのも難しく、今の私の心の中を言語化するのはかなり難しい。
何をどう言えばいいのか。
何か、言わないと彼に余計な気を使わせてしまうかも。
「えっと、その」
私はあやふやな言葉を並べながら広く薄暗い部屋の中をぐるっと見渡し、
何を言えばいいのか考える。