愛しの君がもうすぐここにやってくる。
「それで私を満足させることができたなら、ここにいる間はずっと琵琶を弾いていて構いませんよ」
「え・・・」
なんかそれって上手に言ってきて、つけ込んできてませんか?
本当にこのひとは私の感情を自由に操る。
私の気持ちはその度に反応して忙しく、でもそれは不思議と苦痛でもない。
「どうしましたか?
嬉しくないのですか?」
彼はその事に気がついているのだろうか。
そして彼も私と同じように気持ちが動くことなんてあるのだろうか。
「あ・・・」
いや、同じように変わっているのならこんなに冷静に私と話しができるわけない。
気持ちが動いているのはきっと私だけだろう。
親切にしてくれているのも私がどこかのお姫様だと思い込んでいるから?
いや、余計なことは考えるの止めよう・・・。
「どうかしましたか?」
「えっ、いえ、なんでも、ないです」
彼が私を見ていると思うと、今更だけど急に熱が出たように身体が熱くなっていくのがわかる。
頬を両手でおさえ、火照りを鎮めようとするけれどなかなかおさまらない。
最悪だ。
なのに平然と涼しい顔をしている時親様が少し悔しい。