愛しの君がもうすぐここにやってくる。
「あの、今日は・・・時親様は・・・?」
「今日、というか夜明け前から妖怪に取り憑かれている屋敷の祓いに出かけられています」
「は?」
「ここのところ、お忙しいようで次いつお帰りになるかは・・・」
あのあと、出かけたってことなんだろうか。
一体、彼はいつ寝ているんだろう?
それにしてもタイムスリップからお姫様とか妖怪とか。
ならばとことん、ここでのおとぎ話を楽しもうか。
時親様がいるのならきっと大丈夫だ。
「気になりますか?」
鋭い・・・。
「えっ、あの、そんなんじゃないですけど・・・」
そう言ったものの後の言葉が続かない。
「時親様のことが心配なのですね」
にこやかに私に言う桔梗さん。
「えっ!まさか!」
私が時親様を心配してるって?
いやいや、そういうの有り得ないから。