愛しの君がもうすぐここにやってくる。
「あー・・・疲れた。
古今和歌集って言葉は聞いたことあるけれど、でも内容を理解して覚えて書けるようにって、もうなんか全然進まない」
私は筆を投げ出して大きく伸びをする。
軽く時親様も桔梗さんも手習いなんて軽く言うから、私も書き写すくらいなら楽勝かなと思ってた。
でも・・・そう甘くはなかった。
書くっていっても筆に墨。
シャーペンなんかとは全然違う。
筆使うなんてもしかしたら小学校以来かもしれない。
どう書き写せばいいのか、上手く書けているのかできていないのか。
でも教えてもらいはじめの頃はこの時代のかな文字なんて絶対読めないって思っていたけれど、桔梗さんの教え方も上手で、今では結構読めたり書けたりもできるようになってきた。
とりあえずは琵琶のために。
やらないことには琵琶までたどり着けない。
それにしても古今和歌集は結構な量だから本当に大変だ。
とか言ってもなにかやっていると気も紛れてくるし、それに堅苦しい和歌ばかりかなと思ったら、恋の和歌も結構あったりして、そういうの、昔も今もわからないのかと思ったり。
だから結構楽しかったりもする。
気付けば夢中になっていることもあったりする。