愛しの君がもうすぐここにやってくる。

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…結局。

あのときの自分の感情はなんだったのか、言葉にできないくらいに複雑で、考えるほど
わからなくなってくる。

言えなかったのか、言わなかったのか。
どうして夕暮れを見て泣いて、土壇場で止めようなんて思ったのかよくわからない。
アメジストの石を握った瞬間、穏やかな気持ちになった。
カオリと別れ、市バスに乗り、揺られながらそんなこと、ぼんやり考える。
バスはやがて大きな堀川通に出る。
車の量もビルも多く、このあたりは観光地京都というイメージはない。

所々に観光マップに載っているような場所はあるけれど、
点在しているから河原町よりも華やかな感じもなく静かだ。

ふと窓の外を見ればさっきまで晴れて夕焼けがきれいだったのに、
雨が降りそうな雲行きになってきた。

さっきよりも沈みかけた夕陽は夕闇に近く、
でもそれは夕闇とは違った濃いグレーの雲がかかってる。
走るバスの動く景色から見える建物の間からの不思議な光景。

雨になるのかな。

そしていつもの停留所で降りる。
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