愛しの君がもうすぐここにやってくる。
真宗様はそれ以来、私にとてもよくしてくださいました。
立派な衣装、貝のお道具を届けてくださったり、そのうち真宗様と私のことが大きな噂となりました。
そしてその噂が尚侍、典侍の方々への耳にも届き、真宗様の側に居続けるのなら、それなりの覚悟はするようにと言われるようになりました。
真宗様は気にしないようにと言ってくださいましたが、彼の見えないところで、いただいた文を隠されてしまったり、真宗様のいらっしゃる場所への渡殿が汚されて、参ることができなってしまったということがあったり。
心ないことを繰り返され、とうとう真宗様とお会いすることもままならない状態になってしまいました。
そしてお会いできなくなったことで、真宗様は私が真宗様を避けていると思われていると聞かされました。
決してそのようなことはないのに・・・。
あまりの悲しい出来事にとうとう私は病の床に臥せてしまい、避けているのではないと本当の想いをお伝えすることもできずに結局この世から・・・。
私はこのような姿になってもそれでも真宗様に思いを伝えたくて、でもそのたびに尚侍、典侍の方々が加持祈祷を・・・。
そしてとうとう私はこの紅枝垂れ桜に封印されてしまったのです。