愛しの君がもうすぐここにやってくる。

「紫乃、大丈夫ですか?」
お昼を過ぎた頃、時親様が帰ってきた。

聞えた声に身体を起こそうとするけれど、まだなんとなく言うことがきかない。

「痛っ」
つい顔をしかめてしまう。

時親様は申し訳なさそうに
「私の呪詛のせいで本当に申し訳ないことをしてしまいました。
前にもあの桜の木で怖い思いをさせてしまったのに、今回もまた・・・」
そう言うと紅枝垂れ桜の木に目を向けた。

「あれは私が勝手に雀躍の手を振りほどいて、だから」
うつむきながら小さな声で答えた。

「・・・あの木は処分することにしましょう」

え?ちょっと、待って。

私は顔を上げて時親様を見る。

「それは、止めて欲しい・・・、だってまだ・・・」

「いえ、ここに桜があるとまた、紫乃の身に危険がないとも言えません。
前の時も今回も私がなんとか駆けつけることができたけれど、もしできなかったら」

こんなにも、私のことを心配してくれるんだ。
心配してくれているということを理解する。
やっぱり心配してくれるのは私がお姫様だと思ってるから?
それとも。



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