ウソツキハート
醒めきらない頭は、目を開けることを拒否している。
たぶんまだ、夜が明けていないし、疲れているし、このまま目を開けずにいれば、またあらたがキスをくれるかもしれないし。
起き抜けの思考は、あたしを素直にさせる。
「なぁー、あんずー。起きないと、鼻食うぞ。」
…ん?鼻を、食う…?
その意味を反芻していたら、
「――…いっ…た!!」
鼻先に走った鋭い痛みに、思わず飛び起きた。
「おはよ。」
なんて、ぐーぱーぐーぱー。あたしの目の前で手を振って見せたのは、つい数時間前に帰ったはずの、あらた。
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