ウソツキハート
あたしの鼻先に顔を寄せたあらた。
「あ。ホントだ。赤くなってる。」
…それはたぶん、あらたの顔が近いからだろうけれど。
「そうだよ。ひりひりするんだから。」
放ったはずの大声は、小さな呟きにしかならなくて。
恥ずかしくて、顔を横に向けた。
せめて顔を隠せれば楽なのに、あらたが離してくれる気配はない。
「あんず。顔、そむけんな。」
いつもの抗い難い命令。
でも今日はなんだか抗いたくて。
「…や。」
横を向いたまま、目を閉じた。
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