ウソツキハート


当然のことながら、近くにいたガードレールにもたれる男は、手を差し出してダンボールを支えた。



「やーん!お客さまなのに、すみませーん!ありがとうございますぅ!!」



などと、可愛らしい声をあげていた。



確か前の美和ちゃんファンは、美和ちゃんにおでんをオーダーしたのだけど、火傷したのだ。美和ちゃんが。わざとらしく。



「あっつーい!!火傷しちゃいましたぁ。お客さまは大丈夫でしたかぁ??」



と、それはそれは可愛らしく尋ねられた男性客は、3日後には美和ちゃんにしつこく言い寄るようになっていた。



「美和、なんでか知らないんですけどー、すぐ男の人に好かれちゃうんですよぉ。」



困ったように微笑んで。



.
< 11 / 373 >

この作品をシェア

pagetop