ウソツキハート



仕事を終えて、裏口から出て店の前に回り込んだ。



店の前のガードレールに腰掛けていたあらたが立ち上がった。



「お疲れ。」



近付いてきたあらたは、当然のようにあたしの手を取って指を絡めた。



その横を足早に通り過ぎたのは美和ちゃんで。



「おー、こえー!」



囁いて、あらたがあたしの背中に隠れたのは、燃えるような美和ちゃんの視線を感じたからだろう。



「もー、あらたってば!」



伸び上がってあらたの肩を叩こうとすれば、手首をがっちり捕まれた。



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