ウソツキハート
8.
明かりが落とされた部屋。
シーツを掴む手のひら。
その手のひらに絡みつく、数段大きな手のひら。
「…あんず。シーツじゃなくて、俺の手、掴め。」
冷静な声。
すべてに従いざるおえない、命令。
はぁはぁ、と、息があがっているのはあたしだけ。
余裕の笑みさえ浮かべて、あたしを見下ろす綺麗な男。
熱い舌や、繊細な指先をただただ為すすべもなく、体で受け入れる。
認めざるおえないことは、それがもう、快楽の為だけの行為ではなくなった、こと。
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