ウソツキハート


細くしなやかな筋肉に縁取られた、あらたの腕。



頬を寄せると、あいている方の手のひらが、あたしの髪を撫でる。



緩やかにやって来た眠気に、体を預けようとすれば、



「あんず。」



穏やかな声があたしを呼んだ。



目を開ければ、上体を少し起こしてあたしを見つめるあらたと目があった。



「なぁに…?」



ゆっくり聞き返せば。



「…好きだ。あんず。…あんずは…?」



優しいような、戸惑うような不思議な表情のあらた。



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