ウソツキハート
10.
玄関のドアを開けて、ぶつかるようにした、キス。
あらたのシャツのボタンを、乱暴に外した。
されるがままになっているあらたは、声すら発しない。
どうにかなってしまえばいい。
余計なことは、考えなくて済むように。
だから、ねぇ…、
「あらた。抱いて。無茶苦茶に、して…!」
口から出た声は、叫びになっていて。
そんなあたしを、見下ろすあらた。
どうしてそんな目をするの…。
そんなに、哀しそうな…。
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