一途なハイスペック御曹司はお姫さまに夢中。
そこには、黒髪の若い男性が立っていた。
落ち着いたグレーのジャケットを着こなしている、高身長でスラッとしたモデル体型のイケメン。
一瞬誰?と思ったけどすぐに分かった。
彼は、私が務めている会社の専務取締役である天野杏介さんだ。
ええっ!?まさかこんな所で偶然会うとは思わなかったよ!!
完全にオフモードで気が抜けていた。
天野さんは社長の息子で、いわゆる御曹司。
でも、御曹司であることを鼻にかけることは一切なく、役職関係なく誰に対しても優しくフレンドリーに接してくれることで有名だ。
しかも、27歳という若さで専務になるほど超優秀で、次期社長になる日も遠くはないという噂をよく聞く。
非の打ち所がない、完璧人間って印象が強い。
私みたいな平社員は一生関わることはないだろうな
……って思ってたんだけど、実は会ったことがあるんだ。それは後で説明するとして。
私は背筋をピンと伸ばして、勢いよくお辞儀をした。
「お、お疲れ様です!!私服ですみません!」
「今はプライベートなんだから、そんなに畏まらなくてもいいよ。俺も私服だし」