政略結婚のはずですが、溺愛されています【完結】
♢♢♢

あのパーティーの後から数日が経過していた。
今日は午後から舞衣子にお礼の電話をしていた。

「ええ?!旅行行くことになったんだ?」
「うん、そう。沖縄に…」
「へぇ、良かったじゃん。そこでするってことでしょ?」
「…た、多分…。間接的にそういうふうに伝えたけど…」
「ついに日和も女になるのか…感慨深いわ」
「舞衣子が言うと卑猥に聞こえるんだけど」
「いいじゃない。で、今日電話してきたのは沖縄旅行の準備について、でしょ?」
「…うん」

 声が徐々に小さくなっていくのは初めてを迎える準備が漠然とではあるが脳裏に浮かんできたからだ。
知識はある程度必要だ。楓君が幻滅しないように体も絞っておこう。

 そして…―。
清川さんの言葉を思い出し私はスマートフォンを握る手の力を強めた。
 結婚する前だから不倫ではない。ただ、いい感じになっていたのが事実だとしたら…―。私の心の中は複雑だった。

 既に結婚していることは事実だ。離婚しようと彼が言わない限り夫婦生活は続く。だから、できる限り普通の夫婦生活を送れるよう努力をしたい。
あの清川さんのセリフは思いださないようにしよう。
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