政略結婚のはずですが、溺愛されています【完結】
「じゃあ、楽しみにしてる。沖縄も―…」
「うん。沖縄好きだから嬉しい。思い出の場所でもあるから」
「思い出?」
つい口が滑って幼少期の話をしてしまいそうになる。私は慌てて首を振った。
「何でもない!沖縄は何度か行ったことがあるんだ。修学旅行とか」
「そうなんだ。そうだ、ホテルの清掃の仕事だけど、本当に大丈夫?無理に働くことはないんだけど」
「私が働きたいの。我儘言ってごめん」
「いや、日和がしたいならいいんだけど…」
やはり楓君は私が外で働くことを快く思っていないようだった。理由はわからないが、家事など家のことはしっかり両立したい。
今週末には楓君の親が自宅に遊びに来るし、ホテルの清掃の仕事もスタートする。
旅行もあるし、初めてのことにチャレンジしなければならないことが続く。