政略結婚のはずですが、溺愛されています【完結】
「子供はどう思ってる?」
「…」
「正直に答えてほしい。別に俺の親とか立場とか考えなくていい」
いつか話し合いたいと思っていたことを先に楓君が私に投げかける。じっと、私の心の中を覗くように見つめる彼の目は普段のそれじゃない。
先ほどまで口の中に広がっていたハーブティーの味が消えていた。口内がカラカラなのは緊張しているからなのかもしれない。
太ももの上で作った拳を強く握る。
「私は…―ほしいと思う。楓君との子供」
彼は目を見開き、まるで私の返答が想定外とでもいうように「本当に?」と訊いた。正直に言うと,
子供の件をしっかりと考えるようになったのはつい最近だ。楓君の両親に子供について聞かれたのが大きかった。しかし一番は”楓君”だから…彼が好きだから…楓君との子供が欲しいというのが本音だ。
「よかった」
暫し無言だった彼がようやく声を出した。
「俺も欲しいと思ってる」
「え?!楓君も?」
「うん。おかしい?日和との子供が欲しい」
「……」
熱のこもった目を見れば噓偽りのない発言だと理解できる。