政略結婚のはずですが、溺愛されています【完結】
沖縄旅行ということで首里城を観光した後に更に定番である国際通りを見て歩いた。
舞衣子にお土産を買いたかったから、真剣に選んでいると楓君の姿がないことに気が付く。

「あれ?!」

 辺りを見渡しながら彼の名前を呼んだ。
まさか大人になって迷子になることは想定していなかったから焦っているとすぐに肩を軽く叩かれ瞬間的に振り返る。

「あ、よかった…迷子になったかと思った…」
「ごめん。俺も気づいたら日和がいなくて焦った。はぐれないように手繋ごう」
「…手」

そう言って差し出された手に自分のそれをそっと重ねた。

「デートみたいだね…」
「デートですよ」

 彼はいつもそうだ。簡単に私を動揺させる言葉を言う。それも涼しい顔で。
心臓が早鐘を打つのを認識しながらもアスファルトに目線を落として楓君に手を引かれながら歩く。
 舞衣子のお土産を選ぶ最中も、ずっと繋がれた手に神経が集中する。

 せっかくだから外で夕食を食べようということだったから近くのお店に入った。
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