政略結婚のはずですが、溺愛されています【完結】
バスローブをゆっくりと脱がせる彼の手が止まった。
「…あのさ」
何か幻滅させるようなことをしただろうかと恐る恐る目を開ける。
「日和ってこういう下着付けるんだ」
「え…違う、あのね…これは…」
「もしかして今日のために?」
「うん…」
楓君は長く息を吐くと私の耳元に顔を近づけ言った。
「似合ってる」
「っ…ひゃ…っう」
低く抑えた声が耳朶を打つと同時にチュッと甘いリップ音が響き楓君の唇が耳に這う。
その瞬間、全身に閃光が走る。
無意識に彼の唇から逃れようと顔を背けるがそれは逆効果だった。
生温かい舌が更に耳をせめるとあちこちを痙攣させて嬌声を上げる。
とても自分とは思いたくないようなだらしのない声が響き渡っている。